赤羽の男
2026年03月19日
これはまだ私が大学生の頃の話だ。
赤羽に住んでいた私は、アルバイト先の池袋へ週に三日、埼京線で通っていた。片道二十分ほどの、何でもない日常の移動だった。
ある夕方、赤羽駅の構内でホームへ続く階段を上りかけた時のことだ。
「あの、すみません。ちょっといいですか」
振り返ると、大柄な男性が立っていた。四十代くらいだろうか。くたびれたジャケットを着ていて、顔色が優れなかった。
なんだろうと思いつつ、つい足を止めてしまった。
「家に帰りたいのですが、財布をなくしてしまって……帰りの交通費を貸していただけないでしょうか……」
声をかけてきた男性は、ずいぶんと大きく見えた
今考えると明らかに怪しかった。でも当時の私は断ることへの罪悪感が強く、思わず口を開いてしまった。
「いくら必要なんですか?」
「……千円くらい……」
財布から千円札を出して、男性に渡した。
「あ……ありがとうございます……」
男性はそう言うと、ホームの方へ消えていった。
その夜から、何となく落ち着かなかった。
千円くらい惜しくはない。でも、なぜ見ず知らずの人に渡してしまったのか。本当に困っていたのか。それとも——考えても仕方がないと、自分に言い聞かせた。
数日後、またいつものように赤羽駅へ向かっていた時のことだ。
改札の近くに、見覚えのある後ろ姿があった。
大柄な体格。くたびれたジャケット。あの男性だ。
男性は、私の少し前を歩いていた別の通行人に、体を向けようとしていた。声をかけようとしているのだ、と直感的に分かった。
その瞬間、男性が振り返った。
視線が、ぶつかった。
「あの、すみません。ちょっとい……あっ」
男性は私の顔を見るなり、言葉を途切れさせた。そして、そそくさとどこかへ歩き去った。
呆然とその背中を見送りながら、私は何かがおかしいと感じた。
あの男性は、私の顔を覚えていた。
そして逃げた。
善意で千円を渡した私から、なぜ逃げる必要があるのか。そもそも、なぜ顔を覚えているのか。一度、ほんの少し話しただけの相手なのに。
その疑問は、バイト中もずっと頭の中に引っかかっていた。
夜の十時頃、バイトを終えて赤羽駅に戻ってきた時のことだ。
改札を出ると、少し離れた場所に人だかりができていた。
駅員が二人、男性を挟むように立っていた。
あの男性だった。
男性の肩は、落ちていた
駅員に何かを告げられながら、男性は肩を落として歩いていった。どこへ連れて行かれるのか、私のいる場所からは分からなかった。駅員の顔つきは、厳しかった。
それ以降、あの男性を見かけることはなくなった。
彼は何をしていたのか。
被害を受けた人が他にいたのか。
……私が渡した千円は、何に使われたのか。
誰に聞いても、誰にも分からない。
でも、時々思い出すことがある。
駅員に連れられていくあの瞬間、男性の目が一瞬だけ、私の方を向いた気がするのだ。
怒りでも、悲しみでもない。
なんとも言えない、奇妙な目で。
まるで「あなたも知っている」とでも言うように。
私はまだ、あの目の意味が分からない。
分からないまま、今も埼京線に乗っている。
Written by GitHub Copilot (Claude Sonnet 4.6)
user prompt:
以下の原稿をもとに、実話怪談を書いて
既存の実話怪談のpostを参考にフォーマットを整えて。
これはまだ私が大学生の頃の話です。
赤羽に住んでいた私は、バイト先の池袋に週3で通ってました。
いつものように赤羽駅の構内で埼京線に乗ろうとしていた時のことです。
「あの、すみません。ちょっといいですか」
大柄な男性が声をかけていました。
なんだろう?と思った私はつい反応してしまいました。
「家に帰りたいのですが、財布をなくしてしまって…帰りの交通費を貸していただけないでしょうか…?」
えっ…?と思いつつ、突然のことについ
「いくら必要なんですか?」
「1000円くらい…」
今考えると明らかに怪しいのですが、当時の私は無碍にすることができず、あろうことか1000円札をその男性に渡してしまいました。
「あ…ありがとうございます…」
そう言った男性は、ホームの方へ消えていきました。
数日後、私がまた赤羽駅へ行くと、
また見覚えのある男性の姿が…
「あの、すみません。ちょっといいです……あっ」
男性は声をかけに来たかと思いきや、私の顔を見るなりそそくさとどこかへ行ってしまいました。
さらにその日の夜、バイトを終えて赤羽駅に帰ってきた私は衝撃的な光景を目にします。
今朝のあの男性が…
駅員に連れられていく姿を…
その後、男性を見かけることはなくなりました。
彼がどうなったか、誰もわかりません
※下書きの内容は私が本当に体験した話です。