白地に黒字のみが表示されるチャット画面のスナップショット。左側のメッセージが極端に多いのに対し、右側にはたった数行しかなく、最後の一行だけが妙にはみ出している

(以下は「LINE」アプリより、ユーザーID:tokoro_yuu / 2025年12月15日〜30日にかけての通話ログおよびメッセージ記録である。)


【トーク履歴抜粋:tokoro_yuu × nishida_sora / 受信可・未読無】

tokoro: 昨日の映画の結末、あんなに残りかたしてどうするの tokoro: 21時頃帰ってきたんだけど、家静かすぎて嫌になった tokoro: [画像送信](撮影者宅リビングの様子。ソファは空。テレビ画面だけが映る)

nishida_sora: 了解 nishida_sora: 明日また話そう


tokoro: おおきい! tokoro: 19時半頃着いたんだけど、もう起きてたの? tokoro: [画像送信](窓から外がまだ明るい。部屋に人影は見えず)

tokoro: nishida ?? tokoro: 返事して

nishida_sora: 遅いね。明日も14時に集合だよ


tokoro: え、今日じゃないの? tokoro: 今日だよね?! tokoro: nishida

tokoro: 僕今あなたの家にいるんだけど、中に入れない。鍵が開かない。 外から聞こえるだけで内には入れない。 窓は開いてるのに、手が止まる。何かに触れると「戻れ」って音がするの。

nishida_sora: 窓は開けられないよ。僕が閉めた nishida_sora: なぜならば外から入れる人がいるといけないからね

tokoro: なんだそれ

tokoro: もういいやって思い始めたんですけど、この会話がやめられないんです。なぜか僕の手がキーボードを叩き続ける。止まらなくて、何か僕じゃなくて別の人間が文章を入力してるみたい。

nishida_sora: そうなの?

tokoro: 今さっきの文章を見て、おかしかった。自分じゃない筆跡の感覚。文字の間隔も違う。でも僕は書いたつもりだった。ずっと書いてる。「話しかけてくれないと死んじゃう」ってことばかり言っちゃうんだ。止まらないよ。nishida 返事してよ。

tokoro: 21時43分。まだ外にいるよ。今日は風が強くて暖房の音がうるさいくらいだけど、声は通じないみたいだ。君の家からの灯りがずっと点いているのに、誰も反応しない。「窓から入ろう」って思えば毎回同じ結末で戻される。

nishida_sora:

nishida_sora: 僕の声はもう聞ける?

tokoro: …聞き始めちゃった。昨日の夜中3時すぎに。声が聞こえてきたんだけど…それは君の声だとは言い切れないよな。君の声ってもっと低かったはず。これ、誰の話?

tokoro: 25日午前1時8分。返事をくれるたび、君との感覚が違うことに気づいちゃうんだよね。でももう戻らない場所まで来ちゃったみたい。僕のメッセージが全部「返答不要」の形式に変わっていく。まるで僕に「話すこと」さえ許さないような世界に入ってきたみたい。

nishida_sora: そうなの?


tokoro_nishida: tokoro_nishida: 僕はもうずっとここに居られるよ tokoro_nishida: 外は怖くて中も怖いのでもう出ないね

(以下、26日以降のメッセージ:ユーザー「tokoro_yuu」から送られるのはすべて一方向。ただし文末には常に「nishida_sora」という名札が含まれ、内容が突然第三者視点のものに移行していることが確認される。)


※この記録は受信者のLINEアプリ内より回収された。「トーク履歴の出力」機能により保存された当該ファイルであり、発信者の意図とは異なる形で残されている。詳細な分析は必要とされていないため、本件については「ユーザーによるトーク履歴の自動退蔵」として処理済みとする。