実録。大学の後輩の体験談です。

彼女が大学生の頃、下宿の近くに24時間営業のコインランドリーがあった。下宿に洗濯機がなく、週に2〜3回は通っていた。

「夜中だってことだってあった。1時頃に行って、洗濯物を入れて、待つ間に夜食を買いに行くんだけど」

ある深夜、彼女がランドリーに入ると、奥の隅に一台の洗濯機が回っていた。

中は空だった。

でも水がしっかり入っていて、ドラムが回るたびに泡が立ち、洗濯物のないはずの洗濯機が、明らかに衣類を洗っている音を立てていた。

「……あれ?誰か回しっぱなし?」

店長の姿はどこにもない。カウンターには「館内放送」のマイクが置かれたままだった。

彼女は特に気にせず、自分の洗濯機を使って店を後にした。翌朝、夜食を買いに立ち寄った帰り道、ふとランドリーの前を通りかかった。

まだ洗濯機が回っていた。

朝の8時。電源プラグが抜けていた。

「もしかして、故障してるのかな」

彼女は店員がいる昼間に言おうと思っていた。が、翌日、また夜中に通ると、同じ洗濯機が回っていた。

中身は空。泡立ち、水が回り、洗濯物のない洗濯機が夜中に独りでに回っていた。

「怖くなってきたから、もう行かないことにした」

彼女は大学を卒業し、その地域を離れた。1年後、実家から帰った折りに、ふとあのランドリーの前を通りかかった。

看板が取り払われ、建物は更地になっていた。

「知り合いに聞いたら、あの土地、昔、火事で家族全員が亡くなったアパートだったらしいよ。大家さんが全部壊して駐車場にしたんだけど、その中の一台だけ、壊さなかった洗濯機があったんやて」

「夜中に回ってるの、その洗濯機やで。今でも回ってるらしいよ」

彼女は、その夜、自分の下宿で洗濯物を干しながら、ふと気づいた。

自分の洗濯物の一つが、いつもと違う色の洗濯物と混ざっていたこと。