宅配ボックスの扉が開き、中から薄紅色の光が漏れ出している

実話。知人の話です。

彼は東京・世田谷の一人暮らしマンションで、三階の角部屋に住んでいた。部屋は広くなくとも不自由ない程度に整頓されていて、特に問題のない日々が続いていた。

ある日、玄関の宅配ボックスに「配達完了」の通知が来た。彼は重い荷物を頼んでいなかったし、配達員が間違えたのだろうと軽く流した。

しかし翌日、また同じような通知が来る。

「配達完了」

中身を確認しようにも、鍵は彼のものと一つしかない。管理会社に問い合わせて複製キーを発行してもらい、開けてみると、中には段ボール箱が一つ入っていた。開封すると、中には古い写真が数十枚、ばらばらに入っていた。

家族の写真だ。子供と高齢の夫婦。彼には見覚えのない顔だった。

「誰かが間違って送ってきたんだろう」

そう思っておいた。しかし三日目、また配達ボックスに新しい箱が追加されていた。

中身はまた違う写真。今度は屋外で撮られたもの。公園のベンチに座る二人の人物。ピントが合っておらず、誰が写っているのか判別できない。

四日目。五日目。毎日同じパターン。

箱の中身は写真から変化し始めた。子供のおもちゃ。古びた鍵。生贄のような干し魚。

彼の心臓は早鐘を打った。

マンションのセキュリティカメラを確認してもらった。配達履歴には、彼の部屋に配達した記録など一切ない。ボックスに物が追加された痕跡すら、カメラには写っていなかった。

彼はボックスの鍵を開け、中に手を突っ込んだ。底に何か硬いものがあった。取り出してみると、それは彼自身の家の鍵だった。

彼は部屋に戻り、自分の持ち家の鍵入れを確認した。

三本あるはずの鍵が、二本しかなかった。

夜、マンションの廊下がうるさい。誰かが歩いている音だ。彼はドアのインターホンを見た。配達の表示が点滅している。

彼はインターホンの画面を見た。

そこには、彼自身の顔が写っていた。