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私はデパートの地下3階駐車場に車を停めていた。

夕方6時頃、都内某所のデパートで買い物を終えて、地下駐車場へ降りた。土曜日の夕刻なのに、駐車場はガラガラだった。エレベーターホールから徒歩3分ほどの奥まった駐車スペースに停めたのは、セキュリティ上好ましい場所だと思ったからだった。

荷物を持って歩道を歩き始めた。地下駐車場は白熱灯の明かりがまぶしく、コンクリートの壁に自分の影が伸びる。足音だけが響く。

その時だった。

背後から、かかとが床を打つ音が聞こえた。

私は振り返らなかった。ただ、早歩きをしただけ。音も速くなる。

「たまたま誰もいないはずだ」と自分に言い聞かせた。土曜日の夕刻、地下駐車場に人がいること自体がおかしい。

20mほど歩いたところで、私は振り返った。

後ろには誰もいない。

しかし、床に水滴が点在していた。自分の足跡の向こうに、別の足跡が一直線に続いている。濡れたスニーカーの跡だ。

私は走った。

駐車場の出口まであと100m。エレベーターホールの明かりが見える。私は胸をなでおろした。あそこへ行けば大丈夫だ。

その時、駐車場の隅から、低い唸り声が聞こえた。

振り返らない。振り返らない。振り返らない。

出口の自動ドアが開き、私は階段へと駆け上がった。2階、1階、エントランス。人の気配がする。私は背後を振り返らなかった。

家について、ようやく振り返った。

スマホの撮影アプリを開き、駐車場へ戻った。地下3階の駐車場で撮影した写真が、後で見て愕然とした。

写真には、駐車場の通路が写っていた。私の足跡が写っている。そしてその足跡の横を、もう一つの足跡が並んでいる。

しかし、もっと恐ろしいのは、写真の奥に写っていた。

通路の端に、黒い影が立っていた。顔は写っていない。しかし、その影が私の方を向いているのが、写真から伝わってきた。

そして、影の横に、小さな文字が床に書かれていた。

「またね」

私はそのデパートには、二度と足を運ばなかった。


知人の話です。本人は「ただの勘違いだ」と笑っていますが、写真のデータは残っているそうです。