深夜のエレベーター

ビル管理の夜間巡視で、A子(仮名)はこのビルの地下2階から屋上までを毎晩チェックしていた。ビルのエレベーターは3台あるが、深夜は1台だけ走らせて、残りの2台は電源を切る仕様になっていた。

その日から数えたかぞえられぬ夜が過ぎた。47日目の巡視の朝、A子は地下2階のエレベーターの横に、見知らぬ鞄を見かけた。鞄の中には古い写真が3枚入っており、すべて同じ場所の写真を撮影したものだった。

A子が思わず鞄を拾おうと手を伸ばした瞬間、エレベーターのドアが開いた。中から現れたのは自分そっくりの女性で、背中に鞄を抱えている。「明日もここに来る?」彼女は口元を緩めながら訊ねた。その時、A子はふと気付いたのだ。写真の中で見知らぬ鞄は6枚目には写っていなかった。

「…明日は」彼女の鞄が開き、中から新しい一冊の写真が零れ落ちた。


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