15階の廊下センサーが、毎晩2時3分に点く
2026年09月04日
15階の廊下センサーが、毎晩2時3分に点く
実話は知人の話。彼女は都内の30階建てマンションの15階に住んでいる。築5年ほどの新しい物件で、防犯カメラ、宅配ボックス、スマートロック――すべて完備された、ある意味で「安全すぎない」マンションだ。
引っ越して2ヶ月ほど経ったある夜、彼女はトイレに起きた。
廊下を覗くと、センサーライトがゆっくりと点灯していた。
「おかしいな」
廊下には誰もいない。彼女はそう思った。センサーライトなので、人が通れば点くはずだ。でも廊下には誰もおらず、窓から外を見ても、廊下には誰の気配もない。
「うっかりドアが開いたのかな」
そう思い、彼女はまたベッドに戻った。
その夜から、毎晩決まった時間にセンサーライトが点くようになった。
正確には2時3分。朝方に目を覚ますと、廊下が白く照らされている。窓から外を見ても、廊下には誰の気配もない。
「センサーの故障かも」
彼女はそう思い、管理会社に連絡した。
「センサーライトは設定で自動点灯するようになっています。夜間モードで、2時に廊下の照明が点くようになっていますよ」
「え、そうなの?」
管理会社の担当者も意外だったようだった。
「いや、15階は設定していません。14階までしか夜間モードは……」
彼女は電話を切って、14階の廊下を確認した。14階のセンサーは正常に動いている。だが15階だけが、毎晩2時3分に点灯する。
その日から3日後、彼女は15階の廊下の隅に小さな荷物を見つけた。
段ボール箱。中には古い写真が数十枚入っていた。写真の中には、このマンションが完成する前の、更地の写真も含まれていた。
写真の裏には、日付が書かれていた。
2026年9月4日。
今日の日付だった。
彼女は写真を撮影し、管理会社に報告した。管理会社は「誰かが誤って設置したのかもしれません」と言った。
その夜も2時3分。廊下のセンサーライトが点いた。
彼女はドアの隙間から外を見た。
廊下には、誰かの足跡が湿ったまま残っていた。
15階の廊下に、誰かがいる。
でも15階には彼女しか住んでいない。
知人の話です。その後、彼女はそのマンションを退去しました。理由は「センサーが壊れているのか、それとも壊れていないのか」を自分で証明したいからだと、彼女は笑って言った。