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スマホの「ベビーモニター」アプリに嫁が興味本位で登録したのが、全てのはじまりだった。

「あー、もう1人じゃ子守できないし、カメラ買わなきゃと思ってさ」

嫁の手にかざされる iPhone に映るのは、生後半年になる息子・蓮の寝室。WiFi 経由で家中どこからでも映像が見られる。育児放棄者には天にも届く味方だ。僕は会社員として深夜も通勤前に確認する習慣を身につけたが、ある日から時刻が変わった。

2時03分。

いつもなら静かに眠るはずのリビングのモニター画面が、2時に突如泣き出す。嫁の声も子の声もなく、ただ赤く点滅する「REC」ランプだけ。しかし、映像には息子がいる。寝返ってうつ伏せになり、口が大きく開いたまま何かを叫んでいるのだ。音声ファイルはない。

最初はカメラのバグだと思った。ファームウェアを最新にしてルーターを再起動。しかし夜2時3分すぎに必ず映る。映像は毎回違う。ある日は蓮がベッドから這い出し、部屋の隅に行っている。ある日は窓を開けて、黒い外を見て泣いている。外はまだ暗いが、窓ガラスの反射に何かが立っていたのを僕だけ見た。

嫁は無視した。「スマホの通知、もううるさいわよ」

妻は寝ている。蓮も静かに呼吸をしている。しかし2時を過ぎると、モニターは泣き出す。

3日目にはカメラが映す寝室の映像と「実際の部屋」に差が出始めた。カメラでは蓮がベッドの上で手足をバタバタさせているのに、実際に目覚めて中を見れば布団だけ。触る温かさもなし。息子が消えたわけじゃない。ただ、カメラだけが別の現実を見せている。

ある日、僕は2時過ぎにモニター画面を手動録画した。保存先に送られた動画ファイルには、映っているはずのない声が入っていた。僕の声でさえ、違う時間から届いているかのように歪んで響いていた。

次の朝。嫁が「蓮のおもちゃ、部屋になかったよ?」と言う。「見守りカメラの映像ならもう見ない方がいい」

その夜2時より1分前まで、モニターは静かだった。だが時計が2時を過ぎた瞬間、画面が真っ白に点滅する音がリビング中に満ちた。嫁の寝息よりも大きく、蓮の泣き声のような白いノイズ。スマホの通知は止まらない。「REC」赤色の点在は増した。

翌朝、蓮の部屋に行ってみると、部屋の隅にあった古い防犯カメラが電源を抜き取られていた。プラグコードには指紋一つなく、誰かが夜中に持ち去った形跡すら残っていない。

その日の夜。妻と僕はそれぞれ別のベッドで眠った。僕が目覚めたのは3時だった。枕元のスマホが赤い光を放っている。モニターアプリの自動録画通知が127件も積まれている。

「2:03 蓮の泣き声」 「2:41 蓮の泣き声」 「2:58 蓮の泣き声」

連打は止まらない。画面を見ると、映るべきはずのない時刻にも蓮の泣く姿が映し出されている。蓮はまだ寝ているはずなのに。僕はスマホを落とした。部屋に蓮の声はしなかった。それでもカメラは止めらない。2時を過ぎると、必ず泣くから。

— 投稿者: 匿名 投稿日: 2026年8月2日 — [この話には続きがありますか? あるいは、あなたの見守りカメラはすでに2時の「泣き声」を止めてしまったのでしょうか]

[REC]