無数の棚が壁一面に並び、どれも同じ色・大きさの木箱だけが並べられている様

「お宅の留守番だけだから、掃除は一切しなくていいです。猫のご飯と水替えだけやってくれればOK」。

そう言った女性は、三脚で立ったカメラを一つ片隅に設置してから出て行った。その後も毎週同じ時間から24時間監視カメラが稼働している間、中に入ることはなかった。留守番料は高かった——普通なら五倍の金額だった。

私は正直かなり楽な仕事だと思っていた。一戸建て三階建てで、広さは約80平米。猫も一匹いる。「お宅の留守番だけ」なんて言われても、実態はただの猫の世話でしかない。毎週48時間、その家に住むだけの仕事だった。

最初の違和感(2026年1月9日)

二週間目の留守番から異変を感じ始めたのは自然のことだと思った。家の配置が「おかしい」のだ——正確に言うと、私の記憶と異なるのだ。

以前出入りした時は必ず右側に「リビング」と呼ばれる広目の部屋があった。しかし今週入ると、同じ位置に別の空間が確保されている。その部屋の大きさは元のリビングの半分しかなく、天井も低い。壁一面に棚が並んでいる——木製の箱が整然と並び、どれも寸法が全く同じで色は黒一色だ。

箱の中には何が入っているのか? 問いかけてみるものの、女性からの返信はいつも「触らないでくださいね」という一言だった。

2月4日、三日連続で確認した「部屋の数」

不思議に思って日記を調べてみると:1月末時点でその家の「部屋の数」は6つだった。しかし今週に入ると7つになっている——最初の違和感があった時と同じ場所に、新しい空間が追加されている。同じ面積の家なのに、広さは変わっていないのに部屋数が一つ増えた。

「見えない家具」の増加(2月18日)

ある日帰宅した後にふと気づいた。以前まで「この角には何もなかった」と記憶に定着していた壁のすぐ隣——つまり部屋の奥隅——に背の高い棚が立っている。高さ約1.5m、幅60cm。しかし、数日前に同じ場所に立った時には確かに何もなく、そこはただ壁続きだったはずなのだ。

もう一つ追加された家具:小さな円形テーブル(直径約70cm)。これも以前見かけたことがない。色は白、脚は細長い金属製で二つだけだ。これらも触ったり動いたりしてはいけないと指示されていたため、放置した。

3月2日、ついに確認した箱の内容

女性からの連絡に「大丈夫ですか?」との一言が添えられていたので、私は尋ねてみた。「棚の奥にある黒い箱…開けていいですか?」。その返信には以下の一文があった:

箱は触らないでください。内部に入っているものはありません。

それだけ。箱を開けずに放置していることを前提とした言葉だった——つまり彼女がすでに私の観察を承知している、と判断した。

3月9日、ついに壊れた監視カメラ

ある日、設置されていた三脚の監視カメラが突然止まった。画面にはただ「—」の文字だけが表示されるようになり、録画は行われない状態に。しかしその日の深夜——午後2時過ぎに再びカメラが復活し映像が流れていることが確認できた(スマホからの遠隔確認)。

おかしいと感じた私は再度女性に連絡した。「カメラが止まったんだけど、問題ないですか?」の返信には「あぁ、それは自動調整です。問題ありませんよ」という短い一言。

しかしなぜか、その後の映像は前よりも静かになったように見えた——私の気配を感じ取ったカメラなのかどうかわからないが、私の映るシーンが明らかに減っていたのだ。「私だけ映っている時間が長い」などといったことはなかったはずなのに、まるで「私がいない」と見なされているかのようだった。

3月20日、ついに箱の開封と、その後の出来事

女性は4月以降、来訪しないとのことだ。その間にはずっとカメラは動き続けており、映像は録画されたが私は確認していなかった。(録画ファイル数は48時間×6週間=672ファイル)

しかしある日——5月3日のことだった——ふと録画再生を始めたくなった。「何が入っているのか? なぜ箱の中に入れないのか。触っていいと言われたのか聞いてみよう」。

しかし、私はすでに箱が「無視された」ものとして扱われることすら理解していた:女性からの連絡には「箱について触るのはやめてくださいね」という一文があるだけで、「開けるのは自由ですよ」との一言はないのだ——だから実際触らずいることにするしかなかった。

5月3日の録画映像を確認したところ……*箱は開けてはいけないと言われているにもかかわらず、なぜか中身が全部見えていた——つまり箱の蓋が開いたまま放置されていた。中には入るはずもない大量の「水」があり、黒い液体だったのだ。「液体の色は、まるで何か他の色の色に溶けた後」。

「これって何を意味するの?」と女性への問い合わせをしてみたところ、「液体の色が薄くなっているのは時間が経ったからです」という回答があった。

しかし何故か——その後の映像では、箱の中の液体の色がさらに薄くなり透明になる過程が見えていた……。最終的に5月12日の録画映像で、箱の中身は完全に水色に染まっていた。その瞬間以降、私は箱から目を離すことすら嫌がるようになった。

最終日——6月8日

「もう留守番はしません」と連絡すると、女性は「了解しました。カメラ撤去の準備をしますね」とだけ返答した。

しかし、カメラ撤去後数日後——私が再びその家に入る用事があった際——箱の中に水ではなく何か他の形があることに気づいた。液体ではなくなったのだ。「その形は小さく、まるで猫のような姿をしていた」。しかし箱の中には蓋もなく、開けっ放しのまま放置されていた。