地下駐車場の深夜。モニターの向こうにいるのは、警備員の小林拓也だけだ。

夜中はB1とB2が自動で閉鎖される。残るのは120台。しかし监控カメラの表示画面を見ると、ある日の2時27分、B1の通路「P-37」に止まっている車の番号札が目に入りました。

ナンバープレートの数字は0800だった。

「08:00に停まる車」という意味でもなく、ただの偶然で選んだ駐車枠だと思っていた。しかし毎晩同じ時刻になると、B1の21番目のカメラが勝手に起動し、「P-37」に何かが映るようになった。

最初の日は雪が降っていた。駐車場なのに。凍ったアスファルトが灰色に輝いていた。

二日目、雪は止んでいた。しかし「P-37」には先ほどと同じ車が——同じナンバープレートが——停まっていた。車種、色も全く同じ。まるで録画データを再生しているような静止感だった。

三日目。カメラを拡大した小林は叫んだ。

窓に何か写っている。運転席の向かい側に、人の姿が座っていたのだ。顔を近づけてみるが、画面はノイズだらけで顔つきも輪郭も判別できない。ただ「そこに人がいる」という圧倒的直感が頭をよぎる。

四日目、五日目……毎日同じ光景。そして六日目から状況が変わった。

カメラの表示が突然、P-37以外の場所に移り変わったのだ。B1ではなく、もっと下のレベル。B3?B4?? 管理図にはそういうフロアは存在しないはずだ。しかし画面に表示される数字は明確に「03」とか「04」を示している。

その地下深くで何かが動いている。画面越しではあるが、人間の影が何かを探しているように見えた。

七日目。小林は何とかして管理本部に連絡した。B1のP-37について。上司は「あの場所にはもともと車一台も止めてないよ。センサーも作動しない設定だ」と言っただけで切った。

夜中、小林は独りでモニターを見つめ続けた。「P-37」の画面だけが異常なほどクリアに描かれている。他のすべてのカメラがノイズまみれの中で、唯一その場所だけが鮮明だ。まるで何かが「見せている」、あるいは「見せたい」と言っているように感じられた。

そしてある日午後、小林は辞表を提出した理由をこう書いていた——

「P-37に停まっている車のカメラが、夜になったら自分から画面を出してきます。そしてその車の中に座ってるのは……俺です。」






B-1, Bay P-37 — The car was never supposed to appear at 2:27 AM.
そしてその車の中に座る人物は、毎晩少しずつ別の姿になる。しかし次の日から小林は来なかった。