封筒と赤い蛍光(暗闇の中で)

この家には、雨男の呪いがあると思う。

それは、毎晩降る雨に隠された、見えない誰かの足音だ。

先週から始まった。

私は一歩も出ていないのに、玄関ドアの下に封筒が挿入されているのに気づいた。

封筒は白くて、封はされていない。

中に書かれた手紙を、指でなぞると、血のような赤い滲みが透けて見えた。

手紙① 雨の日(7/5) 「あなたは毎日何時に帰る? 3番線から見てるよ。」

私は3番線なんて使ったことない。

でも、駅に行く日はいつも同じホームで待ってるのは確かだ。

手紙の裏に、小さく「今日も濡れてごめんね」と書いてあった。

手紙② 雨の日(7/10) 「昨日、カバンに入れたでしょう? 青い本を。」

私は青い本なんか持ってない。

でも、駅のカバン置き場にたまたま隣にあったのは青いノートだったのを思い出した。

その日、降り立ち忘れの雨に打たれて濡れた。

手紙が湿った理由も分かった気がする。

封筒の中に透けて見える赤い滲み

手紙③ 雨の日(7/15) 「今日、君は僕に気づいたよね? 改札を出た瞬間。」

私は改札で誰かを「見かけた」気がする。

男だか女だかわからない。

でもその視線がずっと背中についていて、振り返っても誰もいなかった。

手紙の雨音を想像すると、実際に耳元で「さー、さー」と音が聞こえたような気がした。

最後の封筒(7/20・昨夜)

今見たばかり。

中には写真も同封されていた。

私と、駅のホーム。 私が立っている横に、誰かがいて微笑んでいる。

その人物の顔は白く塗りつぶされているけど、服装は私の毎日の格好と完全に一致している。

雨音が聞こえる。

でも外を見ても、今日はずっと晴れている。

「誰か? 雨音の下の誰か?」

ドアの前で泣いてた声がしたのか、止んだ。


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