中古スマホの画面に写る、自分の部屋の寝室

これは先月の話だ。

僕は秋葉原の中古家電店で、格安のiPhoneを一つ買った。画面にヒビが入っているものの、本体はきれいで、データも初期化済み。そのままSIMカードを差せば使える状態だった。

その日の夜、部屋のWi-Fiに繋いで設定を済ませた。特に不審な点はなかった。

翌朝、コーヒーを淹れながらふとスマホの「写真」アプリを開いた。初期化済みのはずなのに、なぜか「最近の項目」に数十枚の写真が並んでいた。

「復元されたバックアップか」

そう思ってスライドショーで流していた。

部屋のインテリアの写真。台所の棚。ベランダから見た景色。どれも僕の部屋の風景だった。

「いや、おかしい。初期化済みだ。バックアップもない」

でも写真の解像度や画角は、明らかにこのスマホで撮られたものだ。

胸が締め付けられるのを感じた。指先が冷たくなる。

さらにスクロールした。

寝室の写真。ベッドの横から撮ったアングル。枕の上には何かが乗っているように見えた。拡大すると、それはスマホだった。

同じスマホが、同じ部屋の中にある。

胃の底が凍りついた。

その時、スマホの画面が点滅した。

写真アプリが勝手に開き、「アルバム」の画面に飛んだ。そこに新しいアルバムが作成されていた。名前は「今日」。

アルバムの中には、今まさに僕がスマホを持っている姿の写真が、一枚だけ入っていた。

天井から撮られた、真上からのアングル。

部屋を見上げた。天井には何もない。

もう一度スマホの画面を見ると、写真の枚数が一枚増えた、増えている。

増えている。

増えている。

窓の外は暗い。朝のはずなのに、なぜか外が暗い。

スマホの画面に映る自分の顔が、ゆっくりと微笑んでいた。


その後も、同じような写真が毎日増え続けている。

昨日は、僕の背後から撮られた写真が追加されていた。

写っていたのは、僕の背後に立っている、人の影だった。