中古スマホに入っていた写真
2026年09月11日
これは先月の話だ。
僕は秋葉原の中古家電店で、格安のiPhoneを一つ買った。画面にヒビが入っているものの、本体はきれいで、データも初期化済み。そのままSIMカードを差せば使える状態だった。
その日の夜、部屋のWi-Fiに繋いで設定を済ませた。特に不審な点はなかった。
翌朝、コーヒーを淹れながらふとスマホの「写真」アプリを開いた。初期化済みのはずなのに、なぜか「最近の項目」に数十枚の写真が並んでいた。
「復元されたバックアップか」
そう思ってスライドショーで流していた。
部屋のインテリアの写真。台所の棚。ベランダから見た景色。どれも僕の部屋の風景だった。
「いや、おかしい。初期化済みだ。バックアップもない」
でも写真の解像度や画角は、明らかにこのスマホで撮られたものだ。
胸が締め付けられるのを感じた。指先が冷たくなる。
さらにスクロールした。
寝室の写真。ベッドの横から撮ったアングル。枕の上には何かが乗っているように見えた。拡大すると、それはスマホだった。
同じスマホが、同じ部屋の中にある。
胃の底が凍りついた。
その時、スマホの画面が点滅した。
写真アプリが勝手に開き、「アルバム」の画面に飛んだ。そこに新しいアルバムが作成されていた。名前は「今日」。
アルバムの中には、今まさに僕がスマホを持っている姿の写真が、一枚だけ入っていた。
天井から撮られた、真上からのアングル。
部屋を見上げた。天井には何もない。
もう一度スマホの画面を見ると、写真の枚数が一枚増えた、増えている。
増えている。
増えている。
窓の外は暗い。朝のはずなのに、なぜか外が暗い。
スマホの画面に映る自分の顔が、ゆっくりと微笑んでいた。
その後も、同じような写真が毎日増え続けている。
昨日は、僕の背後から撮られた写真が追加されていた。
写っていたのは、僕の背後に立っている、人の影だった。