防犯カメラの画面

これは同僚のY君が実際に経験した話だ。

Y君は東京・中野の三人暮らしのマンションの一人部屋に住んでいる。引っ越して二ヶ月ほど経った頃、大家さんから「一階に防犯カメラを取り付けたので、もし何かあったら見て」と言われ、ログイン情報とURLを教えてもらった。

最初は「まあ、防犯のためだよね」と気に留めなかった。

ある深夜、Y君は目が覚めた。正確には、目が覚めたのではなく、目覚ましアプリの通知に気づいたのだ。スマホの画面には「防犯カメラ検知」と表示されていた。時刻は午前3時17分。

「誰かが一階で動いたのかな」と思い、スマホでカメラのライブビューを開いた。

夜間撮影のグリーンの映像に、一階の廊下が映っている。誰もいない。静かだ。

「また誤動作か」とY君はスマホを枕元に置き、再び寝ついた。

三十分後、また通知がきた。

ライブビューを見ると、今度は玄関のドアがわずかに開いている。開いたまま、数十秒。それからゆっくり閉まった。

Y君は背筋が凍るのを感じた。鍵はかけたはずだ。窓も二階だから開かない。

次の日、Y君は大家さんに電話した。「一階のカメラ、おかしくないですか?夜中にドアが開く映像が写ってて」

大家さんは「えっ、そんなことあるんですか?ちょっと見てみますね」と言い、数分後に「いや、何も写ってませんよ。カメラは正常に動いてますね」と言った。

「じゃ、今見た映像は?」

「……映像?何もありませんよ」

Y君はそれ以来、毎晩カメラをチェックしている。毎晩、夜中に検知がくる。でも、カメラのアプリで過去映像を見ると、何も写っていない。

しかし、ライブビューのリアルタイムでは、ドアがゆっくり開き、廊下に誰かの影が立っているのが見える。

ある夜、Y君はカメラのログをダウンロードしてパソコンで見た。三千枚以上の静止画の中で、六百枚ほどに、寝室のドアが開く映像が写っていた。

寝室のドアは、マンションの一階の玄関から廊下を渡った先にある。

Y君は一人暮らしだ。

一番恐かったのは、六百枚のうち最後の三十枚だった。ドアが開き、廊下の影が寝室のドアの前に立ち、ゆっくりと寝室の中を覗き込んでいる映像だった。

その時、Y君の寝室のドアノブが、ゆっくりと回転し始めた。

Y君はそれから一週間、寝ていない。