実録ホラー。知人の体験談です。

![スマートロックの侵入通知](/assets/images/2026-09-13-smart-lock-illustration.svg)

知人の田中(28歳、東京・世田谷在住)は半年前、一人暮らしを始めた。セキュリティを重視し、玄関に上級モデルのスマートロックを導入した。スマホで鍵の開閉を確認でき、一時的なアクセスコードも発行できる。便利だと満足気だった。

導入から二週間ほど経ったある日、田中はふとスマホのロック履歴を確認した。

「03:14 鍵解除 — 外部からの操作」

夜中三時過ぎに、玄関のスマートロックが解除された記録がある。

田中は起きた。自分自身は確かにベッドで眠っていた。妻もいない。猫も飼っていない。

「システムのエラーか」そう思い、もう一度履歴を確認した。

「03:14 鍵解除 — 外部からの操作」 「03:14 鍵施錠 — スマートロック自動」

施錠まで正確に四秒後。つまり、誰かが玄関を開け、入り、出ていった。四秒で。

田中は飛び起きた。玄関に行き、鍵を確認した。確かに施錠されている。ドアの隙間からも、外から何か入ってきた形跡はない。

「おかしいな」田中はスマートロックのメーカーに問い合わせた。担当者は「システム上の誤表示かもしれません。ファームウェアを更新してください」と言った。田中は更新した。

次の夜も起きた。

「03:00 鍵解除 — 外部からの操作」 「03:00 鍵施錠 — スマートロック自動」

また四秒。

田中は怖くなり、スマートロックの連携カメラを確認した。ドアベルカメラが玄関前の様子を撮影しているはずだ。

カメラの録画を再生した。画面には夜中の玄関前が映っている。

03:00。ドアが自動的に開く。

田中が見入った画面の中で、ドアが開き、外が暗闇に溶け込んでいる。何もいない。

しかし、画面の隅、ドアの隙間から写り込んだ室内の映り込み——田中がベッドで寝ている姿が、ドアのガラス越しにぼんやり写っていた。

そして、映像の中で、ベッドに横たわっている田中が、ゆっくりと目を開ける。

田中は自分の目で画面を見つめながら、自分の体が動かないことに気づいた。眠気ではなく、恐怖で動けないのではない。画面の中の自分が目を開けた瞬間、田中自身の目も同時に開いていた。

翌朝、田中は警察に相談した。警官が現場を確認したが、異常なし。スマートロックのログも、カメラの録画も、すべて田中が「見たもの」と同じだった。

警官が帰った後、田中は再びカメラの録画を確認した。

03:00。

ドアが開く。

画面の中の田中が起き上がる。

田中はスマホを床に落とした。

今、田中は友人の部屋に泊まっている。スマートロックの履歴を最後に確認したのは、友人の部屋に到着した直後。

「03:00 鍵解除 — 外部からの操作」

田中のいない部屋で、鍵が開いた。

田中はもう、元の部屋には戻れないでいる。


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