深夜2時、リビングから声が漏れ出した

smart speaker

先週のことだ。

自分は一人暮らしで、リビングにスマートスピーカーを置いている。もともと音楽を聴いたり、タイマーを設定したりする程度で、ほとんど放置していた。

ある夜、ふと目が覚めたのは深夜2時頃だった。

リビングから、かすかに音声が届いている。

「メモを再生します」

その声に、目が覚めた。薄暗い寝室から、リビングの方を見ると、スマートスピーカーのリングが青く光っている。

「おはようございます、今日は晴れです。気温は18度です。予定はありません」

予定はない。そう、予定はなかった。昨日の夜、寝る前に何もメモしていない。

それでもスピーカーは喋り続けた。

「それでは、メモをお読みします。『冷蔵庫の奥に、黄色い瓶が三つある。開けないでください』」

自分は何も書いていない。冷蔵庫の奥に黄色い瓶などない。

でも、その声は続く。

「二つ目。『隣人の猫が、夜中にお互いに向かって鳴き合った翌朝、片方が死んでいた。もう片方は、その日から窓から外を見なくなった』」

隣には確かに猫を飼っている人がいる。昨夜、確かに猫が鳴いていた。朝、窓から外を見ると、ベランダに猫の姿はなかった。

「三つ目。『このメモを読み上げているのは、私ではありません。今、あなたの部屋の隅に立っています』」

スピーカーのリングが、青から赤に変わった。

そして、沈黙。

寝室の隅——鏡の後ろに、黒い影があった。