スマートスピーカーが夜中にメモを再生し始めた
2026年08月22日
深夜2時、リビングから声が漏れ出した
先週のことだ。
自分は一人暮らしで、リビングにスマートスピーカーを置いている。もともと音楽を聴いたり、タイマーを設定したりする程度で、ほとんど放置していた。
ある夜、ふと目が覚めたのは深夜2時頃だった。
リビングから、かすかに音声が届いている。
「メモを再生します」
その声に、目が覚めた。薄暗い寝室から、リビングの方を見ると、スマートスピーカーのリングが青く光っている。
「おはようございます、今日は晴れです。気温は18度です。予定はありません」
予定はない。そう、予定はなかった。昨日の夜、寝る前に何もメモしていない。
それでもスピーカーは喋り続けた。
「それでは、メモをお読みします。『冷蔵庫の奥に、黄色い瓶が三つある。開けないでください』」
自分は何も書いていない。冷蔵庫の奥に黄色い瓶などない。
でも、その声は続く。
「二つ目。『隣人の猫が、夜中にお互いに向かって鳴き合った翌朝、片方が死んでいた。もう片方は、その日から窓から外を見なくなった』」
隣には確かに猫を飼っている人がいる。昨夜、確かに猫が鳴いていた。朝、窓から外を見ると、ベランダに猫の姿はなかった。
「三つ目。『このメモを読み上げているのは、私ではありません。今、あなたの部屋の隅に立っています』」
スピーカーのリングが、青から赤に変わった。
そして、沈黙。
寝室の隅——鏡の後ろに、黒い影があった。