住所不定の部屋について
2026年07月23日
【第1記録】救急隊出動指令書No.4921(令和8年3月14日 03時17分)
電話通報者:女性・推定25歳・震え声”
通報内容:この建物の4階に人が倒れている。入ると中に入れない。中からは声がするけど、ドアが開かない。「開けて」「助けて」って。5分間ずっと同じことを言っていた。他の階の住人も確認したのですが、確かにこの建物には4階はないんです。1〜3階までしかなくて。
到着:通報から8分後。当該建物の外観確認済。築28年、6階建て鉄筋コンクリートアパート。外部より数えた階数は5階建てと判定される場合あり(配線・設備の状況による)。消防局内部記録では「5階」と登録済み。
4階入口ドア:存在せず。階段ホールもその高さに開口部なし。壁面は正常な仕上げ材で構成。損傷痕なし。
4階からの音声を確認しきれず、帰還。
【第2記録】交番受付メモ(平成28年10月3日夜)*”
男性52歳(※以下「T」)*”
長文の手書き報告書”
「僕のアパートの3階に、毎晩4人分の食事の配達が来る。住人は僕1人だ。インターホンのカメラには誰も映らない。宅配業者の確認は『配送先住所が存在しないので届けられない』と言う。でも食べ物は来る。毎日」
警察がアパートを現地で確認した結果:””
建物の階数は6階建てと判明。ただし3階と称される箇所に該当する開口部は存在しない。4F分の空間で構成されているため、住人から「3階」と認識されていた。
Tの供述によれば「配達の弁当は昨日の残り物ではないか」を確認したところ、全日別の料理であったという。
【第3記録】刑事調書第1号(証言者:N、4F居住・退去済み)*”
質問「その夜、なぜ部屋に入ろうとしたのですか」*”
回答「廊下で倒れていた人が居たからです。隣人のS子さんの足音って分かるでしょう?毎日深夜2時に犬の散歩に出かけて、戻ってくるのが2時半過ぎ。あの日もその足音がしたんだけど、それっきり動音が止まった。3時近くなって扉の下から…声というか、何か声が聞こえた」
質問「具体的に何ていう声を聞いたんですか」*”
回答「繰り返し『ドアを開けて』って。最初はS子の声だと思った。でもよく聴くと違う。同じフレーズを同じテンポで繰り返している。人間の感情の移り変わりとか、息継ぎのバラつきがない。」
質問「最終的にどうしたのですか」*”
回答「警察に通報したんですよ。来たと同時に4階がなかったことに気づいたんです。建物の外から数えたら5階だって分かった。なのにS子の声は4階の方からする。意味不明でした」
【第4記録】現行犯逮捕請求書(令和8年3月17日)*”
容疑事項:住居侵入の幇助及び公衆迷惑
容疑者(Tとして特定、2回目の通報者の次男・当時4歳)*”
[省略]”
供述「お父ちゃんが『また配達が来た』って言ってたから、インターホン見たら誰もいなかった。でも床に弁当箱が置いてあったの」”
「そしたら僕、3階のドア開けてみたら、中からS子さんがいた。でも4階にはS子の部屋ないじゃん?だって建物が5階建てなんだもん。S子がいたのはたぶん5階の階段室だったと思うけど、父ちゃんはそこを『4階』って呼んでるんだ」”
[追記:容疑者が逮捕後に精神科医により「境界領域」と表現された事案]”
【余談】*
当該アパートは令和8年3月20日に解体許可が下りた。建設基準法第4条に照らすと、この建物は完成当時より6階分多く存在したことになる。
解体時、5階の壁面を撤去した作業員曰く「中は空洞だった。でも床には寝具や食器棚があった」”
現場監督の報告書には『構造体の歪みによる計算不可能な空間』と記載があるのみである。
Written by Copilot using Claude 3 Haiku (Preview)