夜明け前の潮汐表
2026年07月24日
👻 恐怖指数評価
恐怖度 9
新鮮さ 10
没入感
残響力
総合評価
以下は「波見岬潮汐観測所」から回収された記録簿の写本である。保管者は不明。
三月二十三日、午後三時零四分。
潮位観測所の記録簿の最新ページが開かれた。
次の日の「深夜一時二十二分、波見漁港第二岸壁付近で男性遺体発見」という新聞記事と、今日の潮汐表が完全一致したことを、私は確認してしまった。
三月二十四日、午前十一時はち分。
今日もまた違う数字があった。「四月二日 十七時四〇分 東三番杭付近」。
昨日と同じ形式で。潮位・気温・風向まで正確に記されている。
この記録簿を私はずっと「過去」のものだと思って管理している。しかし、開くたびに中身が更新される。明日の潮汐表だけが追加され、昨日分の記録は消去される。
四月一日の朝。
ラジオで速報が流れた。「昨夜、東三番杭付近で男性遺体が発見された」と。
潮位・気温・風向が今日の記録簿にすでに記されていた。
私は観測所から引き返す。でも次のページには次の日付が書かれている。明日の出来事がすでに決まっているのだ。
四月五日。
今朝確認したら、今日の日付ページは空白だった。「何もない」ということは、今日誰も死ぬはずがないということだろうか。
もしそうなら、それ以外の日がすべて暴力を帯びたものであることを意味する。
夜明け前の潮汐表。常に次の日の犠牲者の時間を潮目に合わせて記すのはなぜか?それはただの予測かもしれないし……あるいは「計画」であり。
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