終電を逃した。

仕方なく、会社から自宅まで歩いて帰ることにした。

深夜の道

静まりかえった深夜の住宅街。街灯の光だけが道を照らしている。

いつも通る道なのに、なんとなく違和感があった。

空気が重い。

コンビニの前で、見知った顔のおじさんとすれ違った。

「こんばんは」

声をかけたが、おじさんは目を逸らして足を早めた。

返事はなかった。

まあ、疲れているのだろう。

住宅街に差し掛かると、向こうから男の子が走ってきた。

とっさに体を寄せたが、男の子は私をまったく気にせず通り過ぎた。

というより、すり抜けるように走り去った。

すり抜けていく子供

男の子は、私が見えていないかのように走り去った。

一瞬、背中を冷たいものが走った。

でも、きっと疲れているのだ。

それより、早く帰りたかった。

自宅のドアの前に立ち、鍵を取り出した。

鍵穴になかなか入らなかった。

三度試して、やっと開いた。

「ただいま」

リビングに入ると、妻がソファに座っていた。

肩を震わせていた。

娘は壁際でスマートフォンを持ち、誰かと電話中だった。

「まだ見つからないの……警察には届けたけど……」

不思議に思って妻の肩に触れようとした。

その時、テレビの画面が目に入った。

速報テロップ

テレビに映る、見慣れた地名。そして、見慣れた名前。

【速報】交通事故 死亡

場所:〇〇通り

時刻:23時10分頃

そこには、私の名前が書かれていた。

今夜、私が歩いてきた道の名前が書かれていた。

終電を逃し、歩いて帰り始めた、あの時刻が書かれていた。

私はまだ、リビングの真ん中に立っている。

妻は泣き続けている。

娘の電話は終わらない。

誰も、私のほうを見ない。


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