Black Rock Hollow - Forest entrance in thick Appalachian fog

ミシガン州のアパラチア地方を走る、標識ひとつない未舗装路を下った先には、地図に載っていない湖がある。ローカルはそれを「ブラックロック・ホロウ」——黒い岩の窪地——と呼ぶ。

ある秋のこと、「森に入るな」と言い残して亡くなった叔父の手紙が、その男の前に届いた。遺品整理をしていた際に、日記の中に「あそこには『声』が残っている」「湖の向こうの岩山に登った者は帰らない」という記述が見つかっていたのだ。

男は不思議に思いながらも、叔父が最後に赴いていたというブラックロック・ホロウまで車で近づいた。道は次第に木々に圧迫され、太陽の光さえまばらになる。「叔父は何を考えていたのか」と、彼はため息をつきながら運転を続ける。そして気づけば、車から降りなければならない場所に出会ってしまった。

それは一面の木立で囲まれた空間だった。真ん中に湖が広がり、その奥には巨大な岩山のシルエットが見える。周囲には静寂がありありとしていて、鳥の声さえ聞こえてこなかった。叔父の日記にある「声」——それが何を意味するのか、彼は理解しかけていた。

湖岸から岩山に向かって、細く踏み抜かれた小道が通じている。男はそれをたどり始めると——ふと、左耳で何かが囁いているのを感知した。

それは人間の会話の欠片に見えるが、言葉そのものではない。ただ声帯の振動だけがあり、無言の囁きが彼の耳元に忍び寄ってくる。「ここには私たちがいる」「見えないのはあなたが知らないからだ」。男は後ずさりし始めたが、小道はすでに彼をこの空間に深く連れ込んでいた。

彼は振り返ると——湖の水面が静止し、遠くの岩山の影が生きているように蠕動しているように思われた。木々の間から何者かが覗いているのだ。それは目というより、空洞そのもののようだ。

男はその場で立ち尽くした。囁きはどんどん大きくなり、そして彼の心の中に直接響くようになってきた。叔父が最後に残すことができなかった記述の続きが、彼に降りかかってきているのに気づいたとき——彼はすでに耳を塞ぐ術を持っていなかった。湖面の下から、何か巨大なものが動き出しているような気がしたのだ。(続く)