0.5秒の遅延
2026年03月03日
在宅勤務が続いて、もう半年になる。
静かな自室。モニターには会議ツールが起動している。
毎日のようにビデオ会議をしているが、最近、妙なことに気づいた。
画面に映る自分の顔が、わずかに遅れて動いているのだ。
0.5秒ほど。
口を開けば、画面の中の自分は少し遅れて口を開く。
最初は回線の問題だと思った。
でも、他の人は誰も遅延を感じていないと言う。
「音声も映像も、ちゃんとリアルタイムだよ」
同僚の言葉に、私は安堵した。
ならば、私が見ている自分の映像だけの問題なのだろう。
だが、その日の夕方。
仕事が終わって会議を切った後、ふと鏡を見て気づいた。
鏡の中の自分が、0.5秒遅れて動いていた。
鏡の中の自分が、わずかに遅れて目を閉じる。
慌てて手を動かす。
鏡の中の手も、確かに0.5秒遅れて動く。
心臓が早鐘を打つ。
でも、きっと疲れているだけだ。
そう自分に言い聞かせて、その日は早めに寝た。
翌朝、目が覚めると、違和感があった。
体がうまく動かない。
正確には、動くのだが、全ての動作が0.5秒遅れる。
立ち上がろうとすると、0.5秒後に体が動く。
歩こうとすると、0.5秒後に足が動く。
自分の手なのに、自分の意志より遅れて動く。
鏡を見ると、映っている自分はリアルタイムで動いていた。
そしてその自分は、画面越しに私を見て、笑っていた。
「君の代わりに、僕が会議に出るよ。0.5秒の遅延もなくね」
鏡の中の私が言った。
その日から、私の体は0.5秒遅れで動き続けている。
会社の人には、何も気づかれていない。
なぜなら、画面に映る私は、完璧にリアルタイムで動いているから。
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