夜勤棟3号線は地下二階にある。私の前任者は、この工場で十五年働いた女の人。“ラインから上がってくる”と言って退職した。理由を尋ねても「見ちゃった」としか言わなかった。

私は新人時代のミスで3号線に配置換えされた。「慣れるまで三ヶ月」の通達だったが、実態は懲罰配属である。(*10年目のベテランが漏らしていた)

初日は特になかった。午前2時までの3時間、コンベアの異常をモニターで見て回るだけ。第7ラインは常時停止中——前任者の「見ちゃった」の元だったと聞いていた。配線パネルがむき出しで、ベルトが半分だけ回転する様子も視界に入る。(*深夜の工場は静かすぎる)

初日の深夜3時半過ぎ、止まっていたはずの第7ラインのモーターから微かな振動が伝わってきた。モニターを見ると、ベルトがゆっくり回り出した。空のコンベア——と見えた瞬間、私の手が凍り付いた。

ベルトの流れの中に、人の形のようなものが乗ってきている。(*「流れてくる」という表現は正しいか? 落下してきたのではない)

最初は金属片かと思った。だが回転するベルトにはっきりと浮き出ているのは、人差し指一本。爪までついている。そしてまた何か——腕。肩から下だけがつながっていて、上半身はラインの上に乗らない。

私はモニターから目を離せなかった。(*目が離せないのではなく、離したくない)

次の瞬間にベルトから落ちてきたものを見たとき、呼吸が止まった。それは顔だった。目も嘴も開いている。口の中に、私の工場の制服のボタンが入っている。

3つの音が同時に鳴った。コンベア停止ブザー。火災警報器。そして……笑い声——スピーカーを通じたかのように。

私はモニターの前でしゃがみ込んだ。次の朝、当直の人が来るまで、第7ラインを止められなかったと報告した。(*保安主任は「モーターの調子悪かったんだな」と言った)

その日から私は毎日夜勤を入れるようになった。「自主的に」——と口にした。(*3号線地下二階には窓がない)

第7コンベア — 停止中

この工場の建物は東海地方の某所で実在します。3号線地下二階には窓がない保安主任は「モーターの調子悪かったんだな」と言った)、と口にした。(3号線地下二階には窓がない)